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ドイツ銀がストレステスト下位、独中銀総裁が事業モデル見直し促す

 
今回のストレステストでは、EUの域内総生産(GDP)伸び率が16年にマイナス1.2%、17年にマイナス1.3%、18年にプラス0.7%となるという「逆境シナリオ」を想定し、各行の健全性を検証した。それによると、対象銀行の中核的自己資本比率(CET1 比率、新たな自己資本規制の影響をすべて加味しない暫定ベース)は2015年末の13.2%から2018年末の9.4%へと3.8ポイント落ち込むものの、国際的な金融機関が2019年までに達成しなければならない同7%のハードル(国際金融システムの安定に特に重要な意味を持つ金融機関を除く)を大きくクリアした。特に北欧の銀行は財務が安定している。
 
欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のダニエル・ヌイ委員長は「銀行部門は2年前に比べ危機への抵抗力が高まり経済的なショックをよりよく吸収できるようになった」と明言した。
 
ただ、伊銀BMPSはCET1比率が15年末の12.01%からマイナス2.23%へと14.24ポイントも減少。同国最大手ウニクレディトも51位中48位にとどまった。イタリアはストレステストの審査対象とならない地域金融機関も財務が悪化しており、総額3,600億ユーロの不良債権を抱えると試算されている。
 
ドイツの金融機関は計9行がストレステストの対象となった。そのうち6行は州立銀行などの公的金融機関で、民間銀は自動車金融のフォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービシズを含む3行。最大手のドイツ銀は18年末のCET1比率が7.8%、コメルツ銀は同7.42%にとどまり、順位はそれぞれ43位、45位だった。独銀行協会(BdB)によると、幅広い銀行業務を手がける両行のようなユニバーサルバンクは逆境シナリオで不利になるという。ドイツ銀の場合は巨大な法務リスクを抱えていることが追い打ちをかけた。
 
欧州の銀行業界は現在、歴史的な低金利やマイナス金利にあえいでいる。預金を運用しようとしても安全で利回りが付く証券は少ないうえ、余剰資金をECBに預け入れるとマイナス金利が付くためだ。
 
今回のストレステストにはマイナス金利という現在の主要なストレス要因が取り入れられておらず、有効性に疑問を投げかける専門家が多い。
 
独連邦銀行(中銀)のイェンス・ヴァイトマン総裁は低金利に伴う銀行の収益力悪化を踏まえ、銀行は事業モデルを常に見直し財務強化に取り組むべきだとの立場を示した。