中国の対欧M&Aが急加速、上半期の対ドイツ総額は前年通期の20倍
欧州企業を対象とする中国資本のM&A(企業の合併・買収)の動きがにわかに活発化してきた。監査法人大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)が14日発表したレポートによると、中国企業が今年上半期に欧州で実施した買収・出資(6月末時点で買収・出資手続きが未終了の案件を含む)は計164件となり、前年同期(82件)の2倍に拡大した。ドイツは最大のターゲットとなっている。
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中国企業の対独M&Aは36件に達し、昨年通期(39件)とほぼ同水準となった。金額ベースでみると、昨年通期(5億2,600万ユーロ)の20倍の107億7,300万ユーロに上る。産業ロボット大手クーカに対する美的集団の株式公開買い付け(TOB)など有力企業に照準を合わせたM&Aが多かったことが反映された格好だ。
独企業を対象とするM&Aは機械などの加工組立産業分野で最も多く、17件を占めた。ドイツの製造業は他の欧州諸国と異なりすそ野が広く安定していることから、中国企業の関心を引きやすいという事情がある。中国経済の成長鈍化を背景に新たな市場や事業分野を開拓する同国企業が増えていることはこの傾向を加速させている。EYによると、最近は中国社会の高齢化などを背景にドイツの病院、老人介護施設、製薬・バイオ企業への関心も高まっているという。
EYのパートナーであるイー・スン氏は同社が関与するM&Aプロジェクトを踏まて、ドイツの有名企業数社が中国企業に買収されることが年内にも公表されるとの見方を示した。
一方、中国企業による買収はノウハウの流出や雇用の縮小につながるとの懸念が根強いことに関しては、高度な技術を持つドイツ企業のノウハウは生産・物流・管理・ITプロセス全般と密接に絡み合っておりドイツから中国に事業拠点を移しても移植できないと指摘。そうしたプロセスを支える高い技能を持つ人材も中国には多くないとして、ノウハウ流出の懸念は杞憂に過ぎないと強調した。
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