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【現地の視点】バングラデシュ・テロ事件、現地日本人コンサルの声

【現地の視点】バングラデシュ・テロ事件、現地日本人コンサルの声

7月1日、バングラデシュ首都ダッカのグルシャン地区で、武装集団がレストランを襲撃、警官隊と銃撃戦となり、人質20名が死亡、そのうち7名が日本人であったことが明らかになった。

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様々な報道がなされているが、編集部より【現地の視点】を紹介していく。

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事件が起きた際に「私は日本人、撃たないで」と英語で訴えたが、効果はなかったという。このことに対する、現地で日本企業の進出サポートを手掛ける企業「バングラビジネスパートナーズ」の代表・岡崎氏の見解を紹介する。

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—岡崎氏のコメント—
 
バングラデシュは、本来「超親日国」で、「日本人は特別視」されている国なのです。
 
強盗とか反政府運動のときに、中国人・韓国人と間違えられて襲われる可能性はありますが、その場合は、「私は日本人だ」っていうと通されるというのが本当にあり、防犯対策としては、そうするようにという指示も実際に出ていました。
 
なので、普段の反政府暴動系の事件であれば、この対応はまったく間違いではなかったのですが、今回は犯行者のタイプも目的もまったくこれまでと違い、国内系の反政府目的ではなく国際テロ組織が、直接外国人を殺害して、世界で名を挙げることが目的だったために、逆効果になってしまったんですね。
 
今回の事件は、バングラデシュの反政府暴動とか経済格差への不満とかではなくヨーロッパ、トルコシリア、中東イラク等で起きていることの延長線の話である感じがすごくします。ISISテロを遠い国の話と他人事に感じていられなくなってきています。
 
普通に考えれば安全な場所というのは、「バングラデシュ人同士の紛争に巻き込まれないために安全な場所」という意味であって、それが「自分たちが直接狙われる」立場になった場合には、むしろ「一番危険な場所」になってしまうんだってことですね。今回は「危険」の対象が変わってしまったんですよね。
 
いままでは「国内紛争」にだけ注意しておけばよく、それに関しては日本人は「部外者」であったものが突然「国際紛争・テロ組織との紛争」の舞台が同じ場所に来てしまって、日本人が突然「当事者」にされてしまいました。
 
そしてそれが「国際テロ組織との紛争」になった瞬間に、舞台は「国」にとどまらなくなり、国単位での治安の良悪はあまり関係なく、むしろ安全だと思って金持ちとかが住んでいるところが。”突然”「一番危険な場所」になってしまう気がします。
 
もはや対テロ組織で考えると、”治安”という概念ではなくて、「どこが狙われやすいか」で考えないといけないですね。
 
そしてその対国際テロ組織 というものが、アジアまで来てしまっているんだと思います。気を付けないといけないですね、本当に。
 
ついに日本人7名の犠牲が確定してしまいとてもショックが大きいです。本当にご愁傷様でありご冥福をお祈りしたいところです。何も悪いことはしていないので、運が悪かったとしかいえない。
 
ただ自分自身や、他のアジアにいる日本人に関しては、そろそろ本当にシリアスに危機感をもたないといけない気がしてきました。それは、バングラデシュに対してではなく、イスラム国のアジア攻撃に対して。
 
これまで、バングラデシュの国内でいろいろ起きてきた暴動とかなんとかっていうのは、全部バングラデシュ国内の、与党・野党の争いとか、個人間の考え方の違いの問題とか、権力争いとかそういう国民の中の問題であって、外国人は無関係、被害を被らせないようにというのが彼らの中での基本でした。
 
彼らは常に先進国、特に日本人に対してものすごく高い敬意と感謝を払っていて、特別扱いをしていました。
 
そして、それらは今も一般的バングラデシュ人の中では変わらないと思います、バングラデシュの一般の世界が、治安が悪化したというような感じはあまりしません。
 
でも今回起きたことは、明らかにこれまでの、普通のバングラデシュ人のメンタリティとは全く違う行為でした。今回は完全に始めから外国人のみを狙っていました。
 
あからさまに外国人が集まるレストランで、現地人が帰省をして少ない連休に、現地人が少なく外国人が多い夜早めの時間にしかけられました。
 
そして、捉えた人質から、バングラ人とスリランカ人(日本人も一人ですが)は解放されて、完全に外国人、特に先進国である欧米と日本だけがターゲットになりました。
 
そのターゲットを相手に、普通は手に入らない、銃と長剣と爆弾を全員が装備して攻撃をしました。
 
そして、殺すにしても銃で一発で殺せばいいものを、わざわざ長剣で血が飛び散るように殺害をされていたそうです。
 
これはバングラデシュにずっといた人たちからの感覚では、絶対に普通のバングラデシュ人が、しかも20代前半の若者がおこすような事件ではないと思います。
絶対に裏側でテログループが指揮しているものだと思います。
 
そして日本人が多分考えないといけないのは、「バングラデシュはけしからん、でもバングラデシュにいかなければ大丈夫」ということではなくて、「今回のイスラム国の攻撃は、いままでのシリアやトルコ、欧州から、ついにアジアのバングラデシュでまで起きた。次はアセアン地域でさえ起きるかもしれない」ってことだと思います。
 
みなさんがもしイスラム国の司令官だったら、「今回はバングラデシュでうまくいった(知名度挙げた)から、次はマレーシアかインドネシア、シンガポールで攻撃をしよう」ってなりませんか?。
 
今回の事件は、「バングラデシュは治安が悪くなってきたのでいかない」という話ではなく、むしろもっと大きく「シリアで状況が悪くなってきたイスラム国が代わりにアジアに足を延ばしてきており、日本人も本格的に自分ごととしてイスラム国問題を考え、対策しないといけない」というのが必要な考え方なんじゃないかなと思っています。
 
皆様、自分はバングラなんかいかないから大丈夫 って考えずに、他のアジアの国の方々もくれぐれも外国人が集まる高級でねらわれやすいところにいかない等お気を付けください。
 
—コメントここまで—
 
 
記事協力:
バングラビジネスパートナーズ
代表・岡崎透
http://www.banglait.biz/

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