商工省のTran Quoc Khanh副大臣は、ベトナムには当初EU加盟国、TPP加盟国からの輸入品の扱いに違いを設ける意図はなかったと話す。しかし、すべての交渉においては持ちつ持たれつの関係を作り出すことが原則であり、EUがベトナムにとって魅力的な提案を持ちかけてきた場合、ベトナムもEUに特別な待遇を提案することになると副大臣は話す。
自由貿易協定の発効後は、EUはベトナム産商品の関税を85%削減することとなる。EVFTAでは今後7年間で99%の関税が削減されることが予定されており、ベトナムが自由貿易協定で得る便益としてもかなり高いものとなる。
ベトナム商工会議所(VCCI)の担当者は、EUは多くの製造業分野においてベトナムに魅力的な提案を持ちかけたと話す。例えば、縫製・繊維製品については今後7年間で全ての輸入関税を廃止することにEUは合意している。
さらには、EUはTPPと異なりベトナムの縫製製品に「ヤーン・フォーワード」原則を適用せず、「ファブリック・フォーワード」原則が適用される。
また、EUは靴製品の関税も完全に撤廃する予定である。商工会議所担当者はさらに、EUはベトナム産農作物がEU市場に参入することへの支援も表明していると付け加えた。例えば、ベトナムの海産物については3年以内に関税が廃止されることとなっている。
また、ヨーロッパにおいて慎重な配慮が求められる作物のひとつである砂糖についても、ベトナムは年間1万トンまでEUに輸出することができる。「ベトナムがEUに対して、政府調達に関してTPP加盟国よりも高度な市場解放を約束しなければならなかったことも理解できます」と商工会議所職員は話す。
商工省のKhanh副大臣は、TPPとEVFTAでベトナムが提供する特恵待遇の内容に違いは少なく、ベトナムは「EVFTAにおいて政府調達について少々進んだ提案をした」にすぎないと言う。Truong Dinh Tuyen元商工省大臣は、ベトナムのビジネス界はTPPにより注意を払っているが、EU市場も米国市場に劣らず重要なものであることを忘れているようにみえるとコメントしている。