シェアリングエコノミーは配車・相乗りサービスの米ウーバーや、民泊仲介サービスの米エアビーアンドビーなど、米国勢が世界的に圧倒的なシェアを握っている。欧州委は域内ではシェアリングエコノミーの市場規模が過去1年間で2倍に拡大しており、今後さらに需要の伸びが期待できると分析。カタイネン副委員長(雇用・成長・投資・競争力担当)は、近い将来、欧州からも企業価値が10億ドルを超えるベンチャー企業が誕生する可能性があると指摘し、EUとして同分野の成長を後押しする必要があるとの考えを示した。
EU内ではウーバーに対するタクシー業界の強い反発を受け、昨秋以降、ドイツ、フランス、イタリア、ポルトガルなどが相次いで規制に乗り出した。現在、これらの国では営業免許を持たない運転手を派遣する安価な配車サービス「ウーバーポップ」の提供が禁止されている。エアビーアンドビーに対しても、ベルリンで5月からアパートでの民泊を厳しく制限する新たな条例が施行された。物件スペースの50%以上の貸し出しが原則として禁止され、条例に違反した場合は最大10万ユーロの罰金が科される。
欧州委はこうした動きに対し、過度な規制はビジネスの成長を妨げるとし、サービス禁止はあくまでも「最終手段」とするべきだと警告。一方、サービス提供者は納税義務を果たし、消費者保護に努めなければならないと指摘した。欧州委は引き続き各国政府や自治体による規制の状況やシェアリングエコノミーのビジネス環境を注意深く監視し、加盟国や各方面から寄せられる意見を踏まえて必要な規制やその他の措置を検討すると説明している。