ギリシャは昨年7月、ユーロ圏から総額860億ユーロの第3次金融支援を取り付け、第1弾として260億ユーロの融資が実行された。残る融資の実施は、ギリシャが約束した財政再建計画の進展状況を債権団の欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、IMFが検査し、“合格”と判定することが条件となる。
7月に多額の債務の返済期限を迎えるギリシャは、追加融資が実施されなければデフォルト(債務不履行)に陥る状況にあり、債権団との金融支援交渉を早急に終わらせる必要があった。しかし、追加緊縮策の実施をめぐる対立が続き、協議は長期化していた。
ユーロ圏の今回の決定は、増税、新たな民営化基金の創設などを盛り込んだギリシャの財政改革法案が22日に議会で可決したことを評価したもの。11時間に及ぶ協議の末、25日未明に合意した。103億ユーロの融資のうち、まず75億ユーロを6月中に実施する。
債務負担の軽減はギリシャ政府だけでなく、IMFも求めていた。ギリシャの債務問題を根本的に解決するためには、持続可能な財政運営が必要で、国内総生産(GDP)比180%に上る累積債務の再編が不可欠という主張で、IMFはその実現を第1、2次支援に続く3次支援への参加の条件としていた。
同問題をめぐる協議は、ドイツが債務軽減に否定的なことから難航したが、IMFとギリシャが求める元本削減は認めず、債務の返済期限延長などの形で負担を減らすことで合意。ギリシャの年間の利払い負担が中期的にGDP比15%、長期的に同20%を下回ることを念頭に、具体策を2018年までに決めることになった。IMFは具体策の決定時期について、即座としていたが、譲歩した格好となる。
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