この順調な成長率は今年行われた選挙支出の急増と、堅調な海外からの巨額な送金に支えられる消費という基盤の危うい中で成り立っているが、政府経済庁高官は選挙関連の支出はさらに増えて、第二四半期も第一四半期を上回る成長が見込まれると述た。
更に政府の通年目標6.8~7.8%の経済成長率予測の達成は可能と楽観的な見方を示した。
今回の経済成長率を近隣諸国と較べると、好調な外資の投資が続くヴェトナムが5.5%、同じく外資の投資が盛んなインドネシア4.9%、投資熱が成熟しつつあるマレイシアが4.2%と何れもフィリピンの経済成長が著しい事を指し示している。
しかしながら、経済減速が伝えられる中国の同期成長率が6.7%と明らかに数字でブレーキがかかっている様子から、中国経済への依存度の高いフィリピンが今後も高成長率を維持できるか専門家の間では意見が分かれている。
また、エルニーニョ現象による日照りの影響も影を落とし、農林水産はマイナス4.4%を記録し、第二四半期も干ばつによる影響は避けられずこの部門のさらなるマイナスが予測されている。
一方、鉱工業が8.7%の高率を達成し、サービス業も7.9%を記録し農林水産部門の不振をカバーする形となった。
この成長率を部門別にみると不振の農林水産では、コメ(−10%)、トウモロコシ(−19%)、マンゴー(−21%)などこの部門は旱魃の影響で全面的に大きく落ちこみ、貧困層の多い農林水産業従事者の貧困化がさらに進むと懸念されている。
好調だった鉱工業では資源を輸出する鉱業が11.3%と二ケタの伸びを見せ、製造業8.1%、不動産バブルに湧く建設業が10.8%を記録し、まだ不動産バブルが続いていることを数字の上では示した。
サービス業では不動産業やコールセンターを中心とするビジネス活動が前年比2.6ポイント増の9.0%を記録し、運輸、倉庫、通信が5.4%、金融業が9.1%の高成長を維持している。
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