2016年5月23日

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ドイツの中所得層が減少、移民と若年層で鮮明に

ドイツの中所得層が減少、移民と若年層で鮮明に

中所得層がドイツで減少していることが、ドイツ経済研究所(DIW)が公開したレポートで明らかになった。社会や労働市場の変化を反映したもので、特に国外生まれの移民と若年層でその傾向が強い。雇用の拡大は中間層の縮小の歯止めになっていないというのがDIWの見方だ。

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DIWは子供手当や生活保護費などの社会移転を含む名目所得をベースに所得層統計を作成。中央値の67~200%に該当する人を中所得層と定義した。同50~67%を中低所得層、50%未満を低所得層、200~300%を中高所得層、300%超を高所得層としている。
 
2013年は年収の中央値が2万9,500ユーロ(インフレ率を加味した実質ベース)であるため、中所得層の所得は1万9,765~5万9,000ユーロとなる。
 
同レポートによると、中所得層の割合はドイツ統一直後の1991年時点で62%に上っていたが、その後低下。11年には54%に縮小し、13年も同水準にとどまった。(下のグラフ参照)
 
DIWは中所得層縮小の大きな要因の1つとして、就労構造の変化を挙げる。ドイツでは製造業従事者が減りサービス業に従事する人が増えているものの、その多くはパートなどの非正規雇用が占める。これが低・中低所得層の増加につながっている。
 
所得格差の拡大も中所得層の縮小につながっている。高度な技能を持つ就労者は数が少ないため賃金が大きく上昇。その一方で、低技能就労者は需要が少なく、賃金の伸びが小さいためだ。
 
<単身世帯の増加も中所得層減少の一因になっているという>
 
年齢別でみると、若い層ほど減少幅が大きく、18~30歳では01年の60%から13年には52%へと8ポイント低下。30~45歳でも72%から64%へと8ポイント下がった。45~64歳は3ポイント減の59%と減少幅が小さく、65歳以上の年金世代では35%から41%へと拡大した。
 
18~30歳と30~45歳では低・中低所得層と中高・高所得層がともに増えており、両極化の傾向が確認される。一方、45~64歳では中高・高所得層が増加したものの、低・中低所得層は減少。年金世代では低・中低所得層が63%から56%へと7ポイントも少なくなった。
 
調査では国外からの移民層で中所得層が減少し、低・中低所得層が大きく増えていることも分かった(左のグラフを参照)。ドイツ人(国内生まれの外国人を含む)では同層がほとんど増えていないことから、貧困は移民層を中心に増えていることがうかがわれる。
 
ドイツでは2000年代の前半に着手された構造改革の効果で、06年から就労者が増加している。それにもかかわらず中所得層が拡大していないことについてDIWは、低賃金労働の増加など雇用の多様化が背景にあるとみている。
 

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