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ミャンマー、アパレル産業が今後数年間で大幅な成長の見込み

  
そのターニングポイントは、2011年3月30日に改革派のThein Sein大統領が軍事・文民政権のリーダーに就任したことであり、そのことにより西側諸国の投資家や衣料品企業の購買部がミャンマーに注目するようになった。ミャンマーを調達先に選んだ最初のブランドは2013年のH&M社で、それに2014年のGap社が続き、この2社がその他の企業に道を開くこととなった。
 
2011年以前ミャンマーは、50年もの間軍事政権に支配され、官僚主義と腐敗に悩まされ、国際的な制裁を受けて孤立し、非常に貧しい国であった。しかし近年、こうした制裁のほとんどは解除されており、多くの国ではミャンマーで生産された衣料品に対し、自由貿易や特恵貿易の優遇措置を与えている。
 
またアパレル産業への外国直接投資(FDI)は、近年制裁を解除された後、目覚しいペースで増加しており、ミャンマーからの衣料品輸出は2013年に26.5%、2014年にさらに27.4%と急成長を見せた。
 
今後の発展計画としてミャンマー政府は、「国家輸出戦略2015-2019」と題した文書の中で、繊維・アパレル産業向けの戦略を公表した。特に、繊維・アパレル産業では次のようなことを提言している。加工賃取引(CMP)中心のオペレーションから、製品売買取引(FOB)条件に移行すること、物量を増加させること、品質を改善すること、より多くのニット製品を生産すること、そしてさらに、FOB条件のオペレーションからオリジナルデザインの製品を取り扱うことができるよう、デザインの専門知識を習得することなどである。地理的な面からも、ミャンマーの各輸出市場において取引の最大化をめざすとしている。
 
また、ミャンマーの道路・港に投資が行われてきており、アパレル業界の国際競争力を向上させ、サステイナブル(持続可能)な生産を促進しようとしている。
 
しかしアパレル業界の長期的な成長見通しについて、業界観測筋の意見は分かれており、既に成功を収めている衣料品輸出国における偉大なライバル企業のような地位を獲得するには、多くの課題を解決する必要があるという。
 
ミャンマーを訪問した専門家達は、時代遅れの機械設備やインフラ、弱い教育体制、お粗末な公衆衛生システム、公平性、整合性や誠実性に疑問の残る裁判制度、地元住民にさえ満足にサービスが提供できず、ましてやグローバル企業には対応できないであろう銀行システムを目の当たりにしてきた。
 
ミャンマーでは天然繊維の生産量が少なく、また化学繊維の生産はできないため、アパレル産業で使用されるほとんどすべての繊維を輸入する必要がある。さらにこの業界では、職業訓練プログラムを欠いているため、バイヤーが慎重に交渉を進めることが予想されており、欧米の小売業者からの需要が急速に増加するとは考えにくい。
 
結果としてアパレル業界では、現代的な機械、原材料、熟練労働者、社会・環境の認証制度、信頼性のあるエネルギー源、物流インフラやスムーズに機能する金融システムを求めている。
 
とはいえ、ミャンマーにおける画期的な進歩として、2015年後半に国に大きな変化を及ぼす2つの出来事がおこった。最初の出来事は2015年9月に発効した最低賃金制の公示である。2つめとして、もっとも重大なイベントの一つであるが、2015年11月8日に実施された、ここ数十年で初めてのミャンマーの公式選挙が挙げられる。
 
この二つの出来事を、経済及び政治ニュースの視聴者は固唾をのんで見守った。しかし、いずれの出来事においても、全体として穏健に、平和裏に、落ち着いて遂行され、このことは将来のために良い前兆を示すこととなった。
 
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