「白鷺城」の愛称をもじって「白すぎ城」とも呼ばれる真っ白な名城の人気は今も続いている。今月20日には入場者数が1万3000人に達し、切符購入から登城まで最高で2時間半待ちとなった。桜の見ごろを迎える月末からゴールデンウィークにかけても混雑が予想され、姫路城は仮設トイレの設備などに追われている。
市は15年度に年間180万人の集客を見込んでいたが、ふたを開けると熊本城が持つ城の入場者最高記録の222万人を昨年12月に塗り替え、280万人を突破する勢いだという。同じ関西の世界遺産でも二条城や高野山より多い。
世界的な口コミサイトトリップアドバイザーで「死ぬまでに行きたい世界の名城」に選ばれた影響もあり、訪日外国人も増加。15年度は2月末の段階で27万6050人の外国人が訪れ14年度実績の3.3倍となった。
想定以上の人気ぶりに驚く姫路城や地元商業施設は後れを取らないよう懸命だ。市は訪日客から要望の多かったクレジットカードによる入場料の支払いを2月から可能にし、4月には城内の外国語パンフレットをこれまでの5ヶ国語から19ヶ国語に増やす。
JR姫路駅から姫路城へ歩く途中にある老舗百貨店、ヤマトヤシキは4月下旬からインバウンドも意識した改修を実施する。雑貨などを購入する外国人の購買額は以前の6倍となったが、中国語ができる店員はおらず、外国語の商品説明も十分ではない。「体制を整えられていたらもっと売り上げが伸びただろう」と柴田達哉執行役員は話す。観光客がくつろげるオープンカフェを導入する考え。
もともと観光客向けの宿泊施設が少ない姫路市は城目当ての日帰り観光が中心。そこでより長時間滞在してもらおうと「姫路城プラスワン」と称し、他の自治体とも協力して城以外の観光資源とセットで売り込みを始めている。
姫路城が今の白さを維持できるのもせいぜい数年。城が強い集客力を維持する間に、城内の魅力発信や底上げを急ぐ。
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