NPEのカーガーマン委員長(元SAP社長)は、電池は電気駆動車の価値の30~40%を占めるうえ、航続距離などの車両性能の面でも大きな意味を持っていると指摘。そのうえで、セルは電子制御機器、ソフトウエア、冷却装置とともに電池システムを構成する重要な部品だと述べ、セルを国内で生産することの意義を強調した。
世界のセル市場に関しては、現在は日韓メーカーの競争力が圧倒的に高いうえ、生産能力過剰にも陥っているとして、現行世代セル(リチウムイオン電池セル)の工場をドイツに設置しても不採算だとの認識を示した。
NPEによると、自動車・定置用大型リチウムイオン電池セルの世界生産能力は2014年時点で27.2ギガワット時(GWh)に上った。だが、実際の需要は10GWhに過ぎず、今年も18GWhにとどまる見通しだ。
こうしたセルの供給過剰は電気駆動車の販売台数が伸びれば解消されるというのがNPEの見方で、次世代セルの実用化が見込まれる2020年以降に国内生産を始めるべきだと提言した。
NPEが参照したコンサルティング大手ローランド・ベルガーの予測によると、電気駆動車(電気自動車とプラグインハイブリッド車)の世界販売台数は控え目に見積もっても20年に220万台となり、楽観的なシナリオでは390万台に拡大する。25年にはそれぞれ640万台、1,780万台に達する見通しだ。
NPEはこれを踏まえ、ドイツにセル工場を1カ所建設したうえで、年産能力を25年までに13GWhへと引き上げていくべきだとしている。13GWhは生産のノウハウを確保するために必要な規模で、電気駆動車およそ32万5,000台分に相当するという。
投資費用は約13億ユーロ。NPEは投資費用の回収には最大10年を要するとして、その間の経営を維持するだけの財務力も必要だとしている。雇用規模は最大1,300人で、周辺雇用は同3,000人を見込む。
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