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渦潮電機、三輪EVでフィリピン市場を開拓

 
フィリピンでは350万台以上の三輪タクシーが走る。渦潮電機の電動三輪車もタクシー向けの需要を狙う。家庭用の電源でも2〜3時間でフル充電できる手軽さと1万ドル(約115万円)の価格が売りだ。
 
船舶用電気システムが本業の同社がEVに参入したのは多角化のためであった。船舶の制御や配電の技術をEVに応用できると考えた。「船舶業界は浮き沈みが激しい。補完できる新たな柱を育てたかった。」と織田雅人社長は述べる。
 
ただ、当初のもくろみと事業展開は異なった。制御技術の製品化だけにとどめ、車両組み立てメーカーに販売しようと考えていたが、売り先の開拓に時間がかかり方針を転換。2011年に日本でEVベンチャーのゼロスポーツを買収していたこともあり、自ら車両組み立てに踏み込んだ。
 
電動自動車に的を絞ったのは、EV市場には大手がひしめくからだ。市場規模は限られるが、時速50キロ以下という制限から一般のEVとは設計が異なる。多額の費用をかけてまで大手が参入してこないと判断した。
 
今後は競争激化も見込まれるが、小田社長は「車両メーカーはどんどん参入してほしい」と話す。電動三輪車の市場を囲い込むよりも、他社と共同で市場を広げる方がメリットが大きいとみる。同社のEV制御技術を製品化して他社に供与していく計画だ。