TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で最も恩恵をうけるのはベトナム
ベトナムは東南アジアからは4カ国(他3カ国はブルネイ、マレーシア、シンガポール)が参加する米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定から最も恩恵を受ける準備が整っている国と見られている。
世界経済の約40%を占める12カ国による協定により、ベトナムの製造業者はいくつかの大きな市場へ関税無くアクセスすることが可能となる。またベトナムの共産主義政府に対して国内経済の改革を促進し、有力な国有企業を民営化するという難題を押し進めることができると見られている。
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ベトナムの新しい指導部らは1月の全国党大会の後に協定に引き続き取り組むことにしている。協定には米国議会の批准という難しい課題も残されているが、今年協定を批准する予定だ。
TPPが批准されればベトナム企業は現在、自由貿易の無い米国やその他の大きな市場である日本やオーストラリアに対して関税を設ける必要が無くなる。
これによりベトナムの輸出に対する需要は増加し、自国内でも多くの新規雇用を生み出すことができる。最も恩恵を受けると考えられているのは衣料品、靴製品、繊維製品業界で、あわせるとベトナムの輸出の26%を占める。上記の業界は近年目覚ましい成長をすでに遂げている。世界貿易機関(WTO)によれば、現在米国のベトナム製の靴製品に対する輸入税率は最大48%、衣料品等は20%となることもある。
環太平洋戦略的経済連携協定の導入により、製品によりこれらの関税をゼロ、もしくは近い数値に引き下げることができる。これにより2015年には23%増とすでに米国に対して確実に増加しているベトナムの靴製品や14%増の衣料品の輸出をさらに加速させることが可能だ。現在米国に対してこれらの製品をより多く輸出を行っているのは中国のみだ。
さらに関税の引き下げにより中国の製靴や衣料品製造業者は国境を越えてベトナムに拠点を移転したり、施設を拡張するという動きを駆り立てる可能性がある。過去10年間中国における人件費の上昇が低付加価値生産業者に対してメコン川流域地域へ製造拠点をうつす要因となっており、これによりベトナムが最大の恩恵を受けている。
フィナンシャルタイムズの投資調査サービスであるFT Confidential Researchによれば、中国投資の追い風と既存の成長の機運もあいまって、環太平洋戦略的経済連携協定により米国におけるベトナム製の衣料品や靴製品の輸入は2020年までにシェアを30%まで倍増する可能性がある。
さらにFT Confidential Researchによれば、環太平洋戦略的経済連携協定によりベトナムの自動車業界はタイに次ぐアセアン第2の自動車製造拠点となることで真の恩恵を受ける可能性がある。ベトナムは他の加盟国への優先的なアクセスを得ることで部品の調達や製造を行う魅力的な場所となり、貿易協定が新たな自動車製造に対する投資をもたらす可能性がある。
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