DIHKは毎年3回、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を行っており、今回は12月初旬から1月中旬にかけて実施。2万7,000社強から回答を得た。業種別の内訳は製造が28%、建設が7%、流通が23%、サービスが42%となっている。
同レポートによると、事業の現状を「良い」とする回答は前回調査(秋)の44%から46%へと上昇し、東西ドイツ統一の特需に沸いた1990年代前半以来の高水準を記録。「悪い」(8%)との差は35ポイントから38ポイントに拡大した。原油価格の下落、ユーロ安ドル高、良好な資金調達環境がプラスに働いている。
特に消費財、自動車メーカー、接客業など個人消費に直結する業界と住宅ブームの恩恵を受ける建設業で現状判断が大きく上向いた。素材産業では化学、ゴムが良好だったものの、鉄鋼の供給過多などにあえぐ金属では「悪い」が「良い」を2ポイント上回った。
今後1年間の事業見通しを「良い」と回答する企業の割合は前回の23%から24%へとやや増加した。「悪い」は14%から13%に減少、「良い」と「悪い」の差は9ポイントから11ポイントに広がった。
改善幅が大きかったのは建設で、「良い」と「悪い」の差は前回の1ポイントから6ポイントに拡大した。難民急増で住宅需要の加速が見込まれることが背景にある。製造業では消費財分野がけん引、特に宝飾品、スポーツ用品、玩具で見通しが良好だ。エネルギー、原料価格の下落を受けて素材産業でも改善が目立つ。
一方、銀行業界では「悪い」が「良い」を28ポイントも上回り、前回から4ポイント悪化した。金融規制の強化や低金利で業績が圧迫されていることが響いた格好だ。
今後1年間のリスク要因に関しては「経済政策の枠組み条件」との回答が前回の42%から45%へと増加し、金融・経済危機の最中だった2010年以来の高水準に達した。中東、トルコ、ウクライナの地政学リスク、欧米諸国でのポピュリズムの台頭、ギリシャ債務危機の再燃懸念、英国の欧州連合(EU)離脱懸念が影響したとみられる。難民問題の先行き不透明感も影を落としている。
photo by Kiefer. on flickr