「非常によい数字です」とMonika氏は話す。国内の新工場のほとんどは中国資本だという。業界アナリストによると中国の製造業、特に労働集約的な産業で、若く、豊富で安価な労働力を求めて東南アジア諸国への移転が進んでいるという。
Monika氏によると、縫製・製靴工場は熟練労働者の確保に苦労しているが、縫製セクターの「カオス」がなければバイヤーの信頼を築くことができるだろうと話す。カオスとは特に賃金、労働環境、食事、ボーナス等の改善を巡って頻発する労働者のストライキや抗議活動を指している。
世界最大の自由貿易協定とされる環太平洋パートナーシップ協定(TPP)へのベトナムの参加はまだカンボジアの縫製産業に影響を及ぼしてはいないとMonika氏は話す。TPPによりベトナムの縫製・靴製品は米国市場に無関税、割当量無しの輸出が可能となるが、まずは加盟を表明した12カ国の政府による承認が必要となる。その中には米国議会も含まれるが、米国議会には現在の案への反対意見も存在する。
Monika氏は、TPPは今後3年以内にカンボジアの縫製・靴製品輸出に影響をもたらすであろうと予測する。しかし、カンボジア政府関係者はクメールタイムズ紙に対し、次の米国での選挙後に協定内容は変化するであろう、カンボジアも昨年TPP加盟を打診されたと語っている。しかし、米国大使館関係者はカンボジアに対する正式な打診はされていないと話す。
工業省の報告書によると、2015年のカンボジア国内の工業・手工芸の工場数は1450、そしてその大部分、1007工場を縫製・靴・バッグ工場が占める。同報告書によると、食品・飲料・タバコ工場が120、紙・製紙工場が38、化学・ゴム・プラスチック工場が101となっている。
手工芸、縫製、靴、バッグ工場での雇用者数は75万4000人、工業、手工芸セクター全体での雇用者数は86万人だった。
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