雇用の安定や手取り収入の実質増、石油価格の大幅下落、低金利を背景に個人消費が1.9%拡大し、全体が強く押し上げられた。実質GDP成長率1.7%に対する個人消費の寄与度は1.0ポイントに達している。
政府最終消費支出と設備投資もそれぞれ2.8%、3.6%拡大。内需の伸び率は1.6%に上った。
輸出は5.4%増となり、増加幅は前年の4.0%を上回った。米国経済の好調やユーロ圏の回復が大きく、新興国経済低迷の影響が相殺された。ただ、活発な内需を背景に輸入が5.7%伸びたことから、GDP成長率への外需(輸出-輸入)の寄与度は0.2ポイントにとどまった。
物価のほかに営業日数も加味したGDPは前年比1.5%増となり、前年の同1.6%をやや下回った。前年に比べ営業日数が多かったことが背景にある。
連邦(国)と州、市町村、社会保険機関の財政収支は計164億ユーロの黒字となり、名目GDPに対する比率は0.5%に達した。同比率がプラスとなるのは2年連続。経済の堅調は税収・社会保険料収入の増加や社会保障費の減少などの形で財政改善に寄与している。
消費主導の経済成長に対してはエコノミストなどの間から懸念の声が出ている。ドイツ経済研究所(DIW)のマルツェル・フラッチャー所長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「投資の低迷は依然としてドイツ経済のアキレス腱だ」と指摘。独商工会議所連合会(DIHK)のマルティン・ヴァンスレーベン専務理事も「石油価格の急落、ユーロ安、低金利が持続的な投資の弱さを一時的に覆い隠しているに過ぎない」との見方を示した。企業投資が十分に行われていないため「表面の華々しさの背後で競争力がますます失われている」(コメルツ銀行)との危機感が持たれている。
統計局が同日の記者会見で明らかにしたところによると、15年10-12月期(第4四半期)のGDPは物価調整後の実質で前期を0.25%上回ったもよう。第3四半期は同0.3%の成長だった。
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