中国企業は、低価格の量産品メーカーから付加価値の高い製品のメーカーへの移行を進める手段として、欧州企業の買収を積極化している。中国化工集団も昨年、伊タイヤ大手のピレリを買収している。
ドイツでは中国の建機大手、三一重工(Sany)が2012年に独コンクリートポンプ製造大手のプツマイスターを買収した5億2,500万ユーロの取引が、これまでの中国企業によるドイツ企業の買収では過去最高額だった。
独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』によると、クラウス・マッファイは独高級車大手のBMWやアウディに、ダッシュボードやバンパーなどを生産する成形機械を供給している。また、米飲料大手のコカ・コーラにはペットボトルの成形機械を納めている。
■ 拠点・経営陣を保持、欧州事業の事業・経営本部に
クラウス・マッファイ・グループの2014年の売上高は11億ユーロ。世界に従業員約4,500人を持ち、うち2,800人がドイツの拠点に勤務している。2015年は約10%の増収となる見通し。
中国化工集団は買収後もクラウス・マッファイの拠点や経営陣を保持する。クラウス・マッファイは今後、欧州の事業・経営本部として、特に、生産、技術、特許および研究開発を統括していく。
また、中国化工集団傘下のタイヤ製造機械メーカーとクラウス・マッファイの協力も視野に入れている。
『フランクフルターアルゲマイネ』紙によると、中国化工集団は今回の取引でクラウス・マッファイの資本の3分の2を取得する。残りは、国営金融投資会社の國新國際投資有限公司(Guoxin)とドイツ銀行で法人金融のアジア太平洋会長だった経歴を持つ蔡洪平(ヘンリー・ツァイ)氏が立ち上げた中国の出資会社AGICが取得する。