H&Mやユニクロ、バングラデシュなどの縫製工場の労働環境改善に動き出す
スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)やファーストリテイリングなど世界のアパレル大手がバングラデシュなどアジアの縫製工場で労働環境の改善に取り組んでいると1月6日付の日本経済新聞が報じた。生産委託先の工場での放火・安全対策の強化や衛生面への配慮を通じて従業員の働く意欲を高める狙い。
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背景には、劣悪な環境で労働を強いる企業への外部の目が厳しくなっていることがある。
2013年4月にダッカ近郊で起きた、縫製工場が入居する8階建てのビルが崩壊する事故。その事故を受けて登場したのが「ファイアファイター」とよばれる消防隊メンバーだ。赤いジャケットを身につけた工員は、工場内で火災が発生したら縫製作業を止めてすぐに消火活動を行うという。
また、ビル管理における対策も設けられた。バングラデシュの首都ダッカ郊外。地元の中堅縫製会社インプレッシブ・グループが、昨年7月に稼働した第6工場は「従業員の安全が最優先」との理念のもとに造られた。6階建ての同工場にはフロアごとに3つの非常口があり、扉の外には消防用ホースやヘルメット、担架を常備。工場内ではあらゆる配線が発火を防ぐ金属製のケースに収まる。
アパレル大手は工員の悪質な労働実態から目を背けながら利益をあげていた。だが、H&Mや「ZARA」を展開するスペインのインディックスなど世界大手の動きは早かった。13年7月には欧州系70社が通称アコードと呼ぶ「防火・建設安全協定」を締結。バングラデシュの委託工場の安全性や労働環境を監査し、改善を促す計画を立てた。
インプレッシブ・グループが万全の対策を施したのも、取引先のアパレル大手からの要請があったから。環境が改善しない工場に対してはアパレル大手から受注できなくなる恐れもある。
また、ファーストリテイリング傘下のユニクロでは独自の安全対策を打ち出している。昨年9月からバングラデシュの取引先工場に勤務する2万人の女声工員を対象に栄養管理や感染症対策など健康・衛生に関する始動に乗り出した。家計簿の付け方など生活支援にも力を注ぎ従業員の生活の質の向上に取り組む。
こうした取り組みはアパレル各社にもメリットが有る。「働く先として良い会社であるという評判は、購買層へのブランド形成にも大きく影響する。」と、デトロイトトーマツコンサルティングの坂田省悟シニアマネージャーは指摘する。良好な労働環境を整えて従業員の定着率が高まれば、品質や生産性の向上にもつながる。
photo by joiseyshowaa on flickr
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