2015年12月18日

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マレーシアTPPの恩恵で繊維産業中心に2000億米ドル近い経済的利益

マレーシアTPPの恩恵で繊維産業中心に2000億米ドル近い経済的利益

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を通し、マレーシアは2027年までに最大2000億米ドルの経済的利益を得ることができるかもしれない。この中でも繊維産業と衣料品部門は最大の恩恵を受ける可能性が高い。

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金融サービスを提供するプライスウォーターハウスクーパース(PwC)による試算は貿易協定により一層速い投資の伸びとより多くの市場へのアクセスが可能となる結果の表れだ。2018年から2027年にかけて国内総生産(GDP)は1070億米ドルから2110億米ドル増加し、結果GDPの成長率は0.6-1.15%上昇すると予測されている。
 
同じ期間内に投資は1360億米ドル-2390億米ドル増加する可能性がある。これは主に繊維産業、建設業、販売業に対する投資が高まることによるものだ。一方輸出の成長は輸入の伸びを上回り、貿易黒字は2027年にGDPの4.3%-5.2%に縮小すると見込まれている。
 
同国の繊維製品部門がTPPから最も大きな生産量の伸びを記録し、業界は2027年までに3.14-3.78%成長すると見込まれている。
マレーシアは貿易協定に参加する12カ国のうちの1カ国で、他にはオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナムおよび日本が参加している。2014年の数値では12カ国を合わせると世界経済の40%を占め、累積のGDPは30兆米ドル、人口はあわせて8億人以上である。
 
特にマレーシアにとってはTPPを通してカナダ、メキシコ、ペルーと米国の新たに4カ国と自由貿易を行うことができるようになる。4カ国を合わせてTPPの経済連合の74%近くを占め、2014年のGDPは約21兆米ドルにのぼった。
 
「関税非課税とするためにTPP加盟国にTPPが原産国の糸を使用することを要件とする原糸(yarn forward)原則はマレーシアの繊維産業の輸出競争力を高めると期待されます」と報告書は述べた。
 
「TPPに参加する国々で生産された糸に対する需要が高まることで、繊維企業に対しマレーシアにおける上流工程の製糸業務の拡張を促すと期待されています。上流工程は下流工程の衣料品の生産よりも付加価値が高いのです」
 
原糸原則が履行されると、米国に対して関税を10%引き下げることで業界は年間1億9千万マレーシア・リンギット(4440万米ドル)のコストを削減することができる。一方1企業当たりの投資額は10億マレーシア・リンギットから15億マレーシア・リンギットに上る可能性がある。
 
報告によれば特にメキシコとペルーにおける非関税障壁の撤廃はマレーシアの繊維製品の輸出を増加させ、中南米諸国との貿易を促進すると期待されている。マレーシアは2014年にメキシコとペルーに対して8300マレーシア・リンギット相当の繊維製品を輸出している。TPP加盟国で生産された糸に対する要求がたかまることでより高付加価値の上流工程への投資を促進させることができると報告書は示唆している。ある主要な繊維の統合会社は上流工程にさらに10億マレーシア・リンギット以上投資し、糸の仕入れを自社で行うことで糸と繊維の両方の輸出を行うことができるようにすると述べている。
 
主にTPP加盟国から仕入れを行っている非TPP加盟国の主要な繊維生産業者らも、報告書によればベトナムと比較してより発展したインフラをもつことからyarn forward原則の恩恵をうけるべくマレーシアへの投資へ移行する可能性がある。
 
一方、非TPP加盟国からの仕入れに大きく依存している下流工程の企業にとっては、調達先がすでに拠点を持っていればマレーシアからベトナム、もしくはヨルダンやハイチのように米国に対して原産国の規定が無くすでに関税ゼロの恩恵を受けている非TPP加盟国へ移転することになるかもしれない。
 
photo by Julianita Qué Tal on flickr

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