日本ゼオンは紙おむつを着けたときにずれないよう腰に巻くフィルムの原料になる粒子「SIS」を手掛ける。このほど、熱をかけてフィルム状に加工したとき、フィルムの厚さを従来の半分にできる新製品を開発した。同社はSISの世界大手だが、接着剤向けが主だった。新たに開発したのは紙おむつ向けの高機能品。生産量は従来の試験段階の年間数百トンから同3千〜4千トンに引き上げる。
イギリスの調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、紙おむつの世界市場は14年に446億ドル(約5兆4千億円)。2017年には509億ドルに増える見通しだ。所得水準の向上により中国や東南アジアで需要が拡大している様子。紙おむつ業界は、アメリカのプロクター・アンド・ギャンブル、キンバリー・クラーク、日本のユニ・チャーム、花王、大王製紙などが事業拡大を競っている。
紙おむつは10〜15種類の材料で構成され、履き心地など品質を高める材料のため日本の素材メーカーは強みを持つ。尿を吸収する高吸水性樹脂(SAP)で世界最大手の日本触媒は国内外の有力紙おむつメーカーが顧客だ。日本ゼオンのSISも海外の紙おむつメーカーが採用するもよう。
大化工業は約10億円を投じ、紙おむつのバックシートに使う通気性フィルムの国内生産能力を3割増やす。16年2月までに関東工場に建設と製造ラインを新設する。中国などからの訪日外国人向けに日本製紙おむつの需要が伸びており、国内向けに増産するという。
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