国内では、和・洋菓子、アイスクリームだけでなく、抹茶ラテ向けが増えている。抹茶はミネラルが豊富で健康に良いイメージがあり、入れると味もまろやかになる。総合緑茶メーカー、丸七製茶の鈴木成彦社長は「栄養バランスのとれた土壌でてん茶を作り、高級抹茶を増産している。洋菓子メーカーやコーヒーチェーンから注文が入り始めた。」と話す。抹茶の生産量は5年で5倍の約5トンに膨らんだという。今後も年間3%の伸びを見込む。
需要は海外へも広がる。日本茶輸出組合の谷本宏太郎副理事長は「お茶は海外では成長市場。日本の輸出の半分近くを占めるアメリカではMATCHAで通じ、ジュースやラテ向けに広がっている。」と指摘する。伊藤園では海外需要に生産が追いつかない。受注から出荷まで通常1ヶ月だが、最近は2ヶ月かかる。今年度のお茶全体の輸出は前年度比から1割増の約500トン。そのうち5割以上を抹茶や抹茶関連が占める。来年度も1割以上の増強を計画する。
輸出では中国勢との強豪も激化。世界の、抹茶を含む緑茶の輸出市場では中国産が7割と圧倒的シェアを握る。日本産は増えたといっても約1%だ。ただ、日本産の抹茶はてん茶から作るものが多いが、中国は普通の葉を粉末にしたものが中心。日本産の半値以下で攻勢をかけるので日本産も安値に巻き込まれやすい。
こうした中で老舗の茶製造卸の松北園茶店は、安定価格で輸出を伸ばす。今年度は12トン、3年後は16トンを見込む。北米2社との提携でニーズを分析して出荷。欧州向けもドイツのブローカーと組み、現地の事情を探る方針だ。杉本剛社長は「日本の価値観を押しつけてはだめ。海外は糖類入りやフレーバーティーも多い。相手の嗜好に合わせる姿勢も大切。」と述べる。
photo by rumpleteaser on flickr