つい先日米国で合意に至ったTPPは2018年中頃から施行される予定だ。パーム油などの植物油脂、石油やガスの輸出成長はTPPへの参加後若干減速すると見られる。
TPPはオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナムの12か国で構成される。
「石油やガス、建設、小売関連ではより厳しい競争にさらされる企業もありますが、ほとんどの業種形態はTPPの合意に基づくセーフガードにほぼ保護されています」
PwCによれば、TPPの”yarn forward”原則によりマレーシアの繊維産業の輸出競争力が高まることが期待されている。”yarn forward”原則はTPP加盟国を原産とする繊維製品に限って適用される。
「TPP加盟国で生産される糸の需要が高まることから、繊維関連企業が川下の衣料品の生産よりも付加価値の高い、マレーシアにおける川上の生産拡大に拍車をかけると期待されている」と同社は語った。
昨年マレーシアの衣料品輸出の全体の59%がTPP加盟国に対するものであったため、繊維製品の関税率が引き下げられることで、マレーシアの川下の衣料品生産業者にも恩恵がもたらされると期待されている。
「2014年における既製品服の販売の34%が米国に対するものであったことからも、米国に対する輸出で最も恩恵を受けることができると期待されています」
”yarn forward ”原則が実行されれば、米国に対して輸出されるすべての繊維製品に対して一律10%関税が引き下げられ、毎年1億9000万マレーシア・リンギット節減できることになる。
特にメキシコとペルーにおける非関税障壁の撤廃が実現されれば、マレーシアの繊維製品の輸出が拡大するだろう、とPwCは述べた。現在これらの国においては繊維製品の輸入にあたって特別分野登録要件を課しており、これが要因となり通関にかかるコストが増大している。
「TPPのもとこれらの輸入要件が撤廃されればマレーシアと中南米のTPP加盟国との間の輸入がより促進されるでしょう」
マレーシアは昨年メキシコとペルーに対して8300万マレーシア・リンギット相当の繊維製品の輸出を行っている。
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