長年使っているCM音声を商標で保護したいと考える企業は多い。テレビCMで使用した「匕・サ・ミ・ツ」が特許庁に認められた久光製薬の堤信夫法務部長は、「商標展開やブランド戦略に沿った出願が必要だ」と述べた。音商標が認められた大半の企業の出願書類が、楽譜にひらがなやカタカナをふったものだったのに対して、久光製薬はあえて「HI・SA・MI・TSU」とアルファベットで表記をしたという。というのは、同社は海外約50カ国でアルファベット表記での音商標を登録し、「グローバル展開を前提にした商標登録で世界規模でブランドを守る」と戦略を明確にしている。
文字や図形の「動き」も商標登録できるようになった。東宝は映画の上映前に流す、放射線状の光が社名の背景で動く動画の登録が認められた。映画を無許可でコピーした海賊版にこの動画も含まれていれば、今後は著作権だけでなく商標権侵害にも問われるようになる。
多くの日本企業が海外市場の開拓に力を入れるなか、言葉が異なっても企業名などが覚えやすいCMのキャッチフレーズを販促に活用する企業は増えている。インターネットで動画を視聴する消費者が増加しているなか、動画を商標として保護する重要性も高まっている。