「グラス、スプーンからゴミ箱やバスケットまで、そこでは幅広い商品があります。それらはすべて、4万ベトナム・ドンで販売されています」と彼女は言った。
「そこでは一般的な市場価格より一部の商品は高価ですが、安いものもあります。しかし、4万ベトナム・ドンという金額は、大都市に住む大多数の主婦にとって手頃な価格なのです」と彼女は、なぜその店に行くのか理由を尋ねられた際に言った。
第3区に住むLe Thi Hong Giangさんは、以前はMarks & Spencerの化粧品を手に入れるには、タイに行った人々から購入しなければならなかったが、今ではタイ資本の店で簡単に製品を見つけることができる、と言った。
「ボディローションは少し高価な25万5000ベトナム・ドンで販売されていますが、まだ手の届く範囲です」と彼女は言う。
タイ製品は「品質が高いわりに価格はそれほど高くない」という位置づけで、ベトナムの消費者の心を捉えている、とブランドの専門家は指摘した。
タイ製品は次の2つの大きな理由によりベトナム市場に浸透していると彼は指摘する。
まず、タイ製品はリーズナブルな価格設定をしており、それは中間所得層にとって「妥当」な水準であり、低所得者にとって「なんとか手が届く」レベルであること。次に、ベトナムの人々が低品質の中国製品にうんざりしている時に、非常に良いタイミングでベトナムに進出をしたことである。
しかし、タイ製品がベトナムの人々に歓迎されている一方で、ベトナム・メーカーの間で大きな不安が生じている。
Robenny Asia Pacific社のRobert Tran最高経営責任者(CEO)は、1ドル均一価格モデルが、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのような取引先の合意が得られなかったために失敗した米国やカナダのような国々を引き合いに、タイの下着や化粧品がベトナム市場に浸透するのは生易しいことではない、と指摘した。
一方で他のアナリスト達は、ベトナム市場におけるタイ製品の浸透率が、ベトナム・メーカーに脅威を感じさせるほど大きくなっている、と述べた。
このブランドの専門家は、ベトナムが強大な衣料品輸出国でありながら、ベトナム市場にはタイの衣料品が溢れ返っている事実を指摘した。
彼はまた、(ベトナムのメーカーにとって)ベトナム国内市場は輸出のための「踏み台」とされている、と警告した。そのため、もしタイ製品がベトナム市場を支配し続けた場合、ベトナム・メーカーは(その踏み台が使えずに、)自社製品の輸出に困難をきたすこととなる。
タイのセントラル・グループ代表者は、小売チェーンにとってベトナムは将来を嘱望される潜在市場であるとし、このグループでは2016年3月までに6ヵ所以上の均一価格店をオープンすることを明らかにした。
photo by Akira Ohgaki on flickr