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フィリピン、進まぬ台風『ヨランダ』復興事業、問題の所在は?

この台風被害に関して各国政府や地域、民間団体などが物資と支援金拠出の表明をしたが、今現在表明額の23%にあたる172億ペソ強(約480億円)しかフィリピンは受け取っていないことが明らかになった。
 
これは一時の熱狂的な支援活動が官民ともに退潮したことを示すもので、被災現地では『被害のあった事を早くも忘れられてしまう事が悲しい』と、嘆きの声が挙がっている。
 
フィリピン政府はこのことを理由に挙げて復興事業遅延の要因としているが、政府側の組んだ自前の予算でも復興事業の遅れは明らかで、政府お得意の言い訳でしかない。
 
例えば、復興事業の中心となる被災者用住宅建設では、計画数では20万5千戸の内、完成したのは10%に満たない1万8千戸弱で、建設中は4万2千戸強でしかない。
 
この遅れに対して事業を実施する名前だけは仰々しい『大統領府住宅都市開発調整評議会』は、次のような理由を挙げて自らの無能さを糊塗している。
 
その理由とは①災害担当政府機関による自然災害に対して安全性を証明された用地確保の遅れ。
 
②複数の政府機関からの被災者住宅建設に当って許認可手続きの煩雑さと怠慢。
 
③建設に当っての入札手続きの遅延。とどれもフィリピン政府と担当者の無駄、無能力を示す言い訳ばかりで、災害という事態に対して強力に物事を進める能力がフィリピン政府には無い事を天下に知ら示した。
 
こういった言い訳に対して被災者側は織り込み済みで、事業の遅延に対して『なるようにしかならない』と諦め気味となっている。
 
政府の無策ぶりに対して自己宣伝に利用する2016年選挙立候補予定者は強烈な現政権批判を展開し、被災現地に乗り込んで票の開拓に勤しんでいるが、これら候補者も復興事業を進める具体的な実行案は全くなく、空虚な言葉で政争に利用するだけと被災民は覚めている。
 
【写真は被災地向けの支援物資を采配するセブ州マンダウエ市のボランティア支援センターにて】