TPP参加はまたとないチャンス! 日本企業の海外進出に追い風
今回の環太平洋連携協定(TPP)の発効が、日本企業のアジア展開の追い風となると10月23日付の日本経済新聞が報じている。
政府は22日、投資や知的財産など環太平洋経済連携協定(TPP) 全31分野の詳細を公表。これにより参加国(シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、カナダ、メキシコ)の間でのヒト・モノ・カネの移動が活発になる見通しだ。TPPが発効されれば、アジア・太平洋地域のビジネスルールが広範囲で統一されることになる。日本企業のビジネス機会は大きく広がり、透明なルールの下で新興国へと進出しやすくなる。
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TPPの本質は、世界の国内総生産(GDP)の4割弱、欧州連合(EU)の約1.5倍という世界最大の経済圏のなかでのカネ、サービス、情報、人が自由に行き来しやすくなることにある。
TPP参加による各国のルール変更に伴う日本企業への利点は以下のとおりだ。
《ベトナム》
・コンビニ、小売業、電気通信業への出資・出店への規制を緩める
・日本の建設会社の、国や自治体の公共事業の受注を可能に
《マレーシア》
・外国銀行の支店数の上限を引き上げ
・コンビニ、小売業、電気通信業への出資・出店への規制を緩和
・日本の建設会社の、国や自治体の公共事業の受注を可能に
《ブルネイ》
・日本の建設会社の、国や自治体の公共事業の受注を可能に
《シンガポール》
・政府調達の対象機関の拡大
《オーストラリア》
・政府調達の対象機関の拡大、基準額の引き下げ
《チリ》
・ビジネスで訪れた人の配偶者も同一期間の滞在を可能に
《ペルー》
・ビジネスの滞在期間を長期化
《アメリカ》
・政府調達の対象機関を拡大
・初めて法的に投資家保護を決める
《カナダ》
・投資の事前審査が必要な金額の引き上げ
・オンラインの音響映像コンテンツの規制を廃止
《日系企業の声と今後の方向性》
これらの規制緩和を受け、喜ぶ日本企業も多い。
「ファミリーマート」の中山勇社長は「ベトナムなどアジアで店舗網を増やそうとしており、マレーシアにも興味がある」と述べる。アジア圏では外資の小売業進出を規制する国が多かったが、可能性が広がる。2014年にベトナム進出した「イオン」は同国の小売業規制をクリアするために4年を費やした。きせいが緩めば、市場の動向に合わせたタイムリーな進出が可能になる。讃岐うどん店を展開する「トリドール」の粟田貴也社長は「海外展開がしやすくなる」と歓迎する。
アメリカのブランダイス大のピーター・ペトリ教授らの試算によると、TPPは日本のGDPを2%分押し上げるという。金額にすると1000億ドル強、およそ12兆円超と、TPP参加12ヶ国のなかでも最も大きい。大事なのは、中小企業を含めた日本企業がTPPを活かし、「攻め」の姿勢をみせることだ。縮み思考から抜け出し、収益力や生産性を大きく高めるまたとないチャンスである。
日本の建設会社はベトナム、マレーシア、ブルネイで国や自治体の公共事業の受注が可能になったが、建設基準に関する法律が残る可能性があるほか、現地の商取引における慣習の壁もある。TPP発効に合わせて各国がどのように法を改正していくかは未だ不透明だ。企業は各国の動きを見さだめる必要もあるようだ。
photo by Julianita Qué Tal on flickr
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