ドイツ銀が組織再編へ、投資銀行部門は分割
独最大手銀行のドイツ銀行は18日、組織の大がかりな再編計画を発表した。顧客のニーズや当局の規制要求に柔軟に対応できるようにすることが狙いで、グループ・エグゼクティブ委員会など取締役会内部の委員会を大部分廃止するほか、事業部門の構成を変更。投資銀行部門はそれぞれ独立性を持つ2つの部門へと分割する。組織再編に伴い役員数も減らす考えだ。
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投資銀行部門(CB&S)を来年1月1日付で企業顧客・投資銀行部門とグローバル・マーケット部門に分割する(下の図を参照)。企業顧客・投資銀行部門は企業向けM&Aアドバイザリーや債券・株式発行などのサービスを手がけるコーポレート・ファイナンス事業と、これまで独立部門グローバル・トランザクション・バンキング(GTB)で展開してきた決済、キャッシュ・マネジメント、リスク管理、国際貿易金融、法人信託サービスなどの商業銀行サービス事業で構成。グローバル・マーケット部門では債券、株式・株式関連商品、上場・店頭デリバティブ、外国為替などのマーケット事業を展開していく。
このほか、現在は資産管理部門(AWM)に入っている富裕層向け事業を個人顧客・中堅企業(PBC)部門に編入。AWMは機関投資家とファンド事業に特化する。
AWMで管理する顧客の資産は6月末現在1兆1,350億ユーロだった。このうち富裕な個人顧客は3,510億ユーロを占めており、PBC部門で管理する顧客資産は大幅に増加することになる。
ドイツ銀は2012年9月、収益力の低い資産管理事業を強化するために富裕層向け資産管理事業やファンド子会社DWSをAWMに統合した。富裕な顧客に自社のファンド商品を売り込むことが同統合の狙いだったが、富裕顧客層は中立の立場での資産運用コンサルティングを要求。同行の思惑は顧客ニーズに合致していないことが明らかになっており、AWMから富裕層向け事業を分離した。
ドイツ銀はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作や米モーゲージ担保証券(MBS)の販売など過去の不正行為に絡んで巨額の引当金を計上し財務が圧迫されており、6月には共同最高経営責任者(CEO)のアンシュー・ジェイン氏が引責辞任。ジョン・クライアン監査役が新CEOに就任した。
同行の数々の不正はグローバル・マーケット事業で行われてきた。同事業はリテール事業などに比べて金融市場にもたらすリスクが大きく自己資本規制が強化され利益を上げにくくなっていることもあり、経営陣は事業を整理し規模を縮小する考えだ。具体策は29日の7-9月期決算発表に合わせて公表する中期経営戦略「シュトラテギー2020」の詳細で明らかにされる見通しだ。
photo by Tony Webster on flickr
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