【外国人の視点】世界で最もクリエイティブな国、日本
日本はクリエイティブな国か? 海外と日本では認識が違うことが判明
「日本はクリエイティブな国だ」
そう世界で思われているのに、日本人は自分たちのことを「創造的ではない」と思っているって知っていますか?アドビシステムの2012年の調査によると、日本は世界で最もクリエイティブな国にランクされましたが(2位は米国)、興味深いことに、大半の日本人は自らをクリエイティブであるとは考えていませんでした。
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アドビシステムの「あなたは自分のことを“創造する人”だと思いますか?」という質問に、日本人で「はい」と答えた人の割合は44%。これは先進国平均の59%に比べて15%低く、先進国で一番低いことがわかりました。
クリエイティビティーに関して言えば、海外から見た「日本像」と、我々日本人が思っている日本の姿には大きな違いがあるようです。そこで今回は、日本情報を発信する海外サイトTofuguより、日本は外国人が思っているほどクリエイティブな国なのか、なぜ日本人と外国人では「日本のクリエイティブさ」にギャップがあるのかを探ってみようと思います。
1海外から見た日本のクリエイティブなもの
海外からは最もクリエイティブな国だと思われている日本ですが、実際にどのような人やものを見て、海外の人は日本を創造的だと感じるのでしょうか。Tofuguでは、以下のようなものが海外では創造的だとしています。
アニメ、漫画、ハローキティ、ゲーム、インスタントラーメン、邦画「おくりびと」、邦画「告白」、カラオケ、ウォークマンのようなガジェット、黒澤明、鈴木清順、今村昌平、久石譲、坂本龍一、吉本ばなな、村上春樹、手塚治、宮崎駿…etc.
あげ始めたらキリがないほど、こんなにたくさんのクリエイティブなものや人で溢れている日本なのに、どうして日本人は自分たちのことを“クリエイティブではない”と思っているのでしょうか。
2なぜ日本人は“クリエイティブではない”と思うのか
tofuguでは、考えられる理由として以下をあげています。
◆ 日本人は謙遜しているから
◆ 昔は世界に新商品を提供していた企業はソニーだったが、ここ数十年はシリコンバレーが世界をリードし、日本はそれを“追いかける”形になってきたから
◆ 日本のソフトウェア分野は弱いから。日本のウェブサイトが良い例。ただし、ゲームだけは例外。世界的に普及している日本のサイトやアプリはない(LINEは例外)。
◆ 起業家精神、起業文化があまりない。日本の起業環境はOECD34カ国中31位とかなり低い結果になっている。
これらの「日本がクリエイティブだとは言えない要因」が影響して、日本人は自分たちのことを非創造的であると考えているのではないでしょうか。
3日本の創造性、強みと弱みはなにか
どこの国でも創造性には強みと弱みがあり、それは日本も変わりません。日本の場合は映画やアニメ、音楽などの文化的な面での創造性や食の分野での創造性が強い一方、起業文化やソフトウェアでの分野での創造性が弱いと分析できます。
Tofuguの記者オースティンさんは以前、「日本人は古くさい国なのか?」という記事のなかで、日本人はリスク回避の面では保守的になりやすい側面があるといいましたが、昨今の日本企業がクリエイティブになれないのはリスクを避けようという心理が働いており、大きな冒険ができないからではないかと言っています。
また、記者オースティンさんの個人的な意見では、日本のIT教育は進んでいるとは言えないそうです。大学に入るまでマイクロソフトのワードを一度も使ったことのない学生が多く、プログラミングのスキルも総じて低いからだといいます。
さらに、日本では現在でもハードウェアのエンジニアに比べて、ソフトウェアのエンジニアには社会的地位が低く、結果として日本でのソフトウェア分野での発展が妨げられているのではないかと分析しています。
4海外における勘違い
海外の人が日本はクリエイティブな国だと思うのは、日本の独自性を誇大評価した海外メディアにも原因があるのではないでしょうか。そんな情報を得た外国人観光客も“日本独自なもの”を探し求めにくるので、結果として、「日本はとてもユニークな国だ」という感想をもつようになります。
海外が日本を報じる時、「アメリカなどの欧米(先進国)とは違うところ」に着目して、そればかりを取り上げるため、日本はクリエイティブだと安易に結論付けてしまいますが、結局は欧米スタンダードから見た文化の違いを強調したにすぎないとオースティンさんは語ります。
ポケモンをつくった日本がクリエイティブなら、スマーフを作ったベルギーもクリエイティブ。キャリーぱみゅぱみゅがいるから日本人は独創的というなら、レディーガガを生んだアメリカだって独創的になるのではないかと指摘しています。
結論
日本が海外で“独創的だ”と大げさに取り上げられてしまうせいで、実際の日本とは違うイメージが一人歩きしているのではないか…と語るオースティンさんも、やはりそうは言っても「日本は創造的だと思う」と語っています。
「日本はもちろんクリエイティブな国。そうじゃなかったら、アップルだって横浜に開発技術センターを作ろうなんて考えなかったはずです」
しかし、クレイジーでストレンジなジャパンの側面だけを切り取って報道し、それを独自性があるとして伝える海外のメディアには疑問を感じると言います。欧米から見て“変わっている”だけで、日本人からすれば普通のことであることも多く、常に欧米をスタンダードとして報道するやり方に共感できないからです。
それよりも、彼は「日本人が何を創造的と感じるか」に興味があるといいます。クリエイティビティーを「新しいものを創造する力」と定義するなら、私たち欧米人が見たことのないものを創造的だと判断するのではなく、日本文化のなかで何がこれまでの限界を越えてきたのかを正しくジャッジすることが必要だと結論付けています。
photo by adobe
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