この中古車市場の伸びが鈍いのには、中国らしいお国事情もあるようだ。
まず挙げられるのが「メンツ」。上海に住む30代の男性会社員は「近所の目もあり、中古車は恥ずかしい」と拒否感をもつ。ただ、最近では若者を中心に背伸びをせず、必要な物を低価格で買う「身の丈消費」が広がりつつある。店員によると、「昔ほどメンツは問題にならない」という。
それよりもさらに根が深いのが中古車への不信感だ。中古車市場では走行距離を減らすためにメーターを操作したり、事故車であっても無事故と偽ったりするケースが横行している。「車に詳しくないなら中古車はおすすめしないね。だまされるのが落ちだよ。」と悪びれることなく話す仲介業者もいる。
しかし、マイナス成長が続く新車販売とは異なり、好調の中古車。どこの国でも、新車が売れずに中古車が伸びるのは景気低迷のシグナルだ。中古車販売が伸びているとはいえ、新車販売の4割しかない中国が今後、市場を発展させていくには中古車流通の整備が不可欠である。
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