同市場には、ゲームソフト店や玩具店など約500の屋台が入居。低い天井に、すれ違うのがやっとの通路幅しかない市場内は、さながら古きよき〝電気街〞秋葉原を連想させる。
同市場の歴史は古く、はじまりは、第二次世界大戦直後に遡り、約40年前から現在の(玩具市場)形態となった。通告は、都庁が進める屋台規制の一環だそうだ。撤収しない場合は、10月20日に都職員が強制撤去するとした。
都は「10年以上も前から伝えてきた。市場の建物がオーンアーン運河を覆ってしまっており、排水作業や観光を阻害している」と説明。これに対し店側は「一方的過ぎる」と反論。8日には、約200人の店主らが、お揃いのTシャツを着て、所管する区役所を訪れた後に、行政裁判所へ向い、立ち退き期限の延長を求める訴えを起こした。
かつては、同市場の管理者は某民間企業で、店主らはこの企業に対し、賃料を支払ってきたが、1997年に同企業が権利をバンコク都庁に譲渡したことで状況は一変した。親子2代で時計店を営む店主は、「権利の譲渡後、2000年頃までは都庁に(賃料)支払ってきたが、オーンアーン運河の再整備計画が浮上し、賃料を受け取ってくれなくなった」と明かす。つまり、現在、店主らは賃料をどこにも支払わず、無許可営業を続けていることになる。
市場には、日本でもお馴染みの家庭用テレビゲームのハードやソフトが所狭しと並ぶ。子ども用玩具やマニアにはたまらないフィギュア類も数多く、バンコクの〝オタクの聖地〞とも言われているそうだ。また、店先で電子部品を並べ、テレビゲームをはんだコテで修理する職人の姿は、どこかなつかしい。現在、店主らが行政裁判所へ訴え出ているため、内務省が定める検討期間(最大60日間)内は、バンコク都は手が出せず、営業を続けていくという。
ちなみに、市場では、一部正規品か疑わしい商品もあるので、購入については、勧められないのであしからず。