また、監査役会の主要メンバーによる執行委員会は9月30日の会議で、問題解明の調査に少なくとも数カ月かかる見通しから、11月9日に予定していた臨時株主総会を取りやめることを監査役会に提言する方針を固めた。
また、9月29日には、今後の行動計画として、10月に不正ソフトウエアを搭載した販売車両への技術的な対応策を当局に提出すると発表した。
対象となるのは、世界で販売したエンジンタイプ「EA 189」を搭載した車両の約1,100万台で、第6世代のVW「ゴルフ」や第7世代のVW「パサート」、初代のVW「ティグアン」などが該当する。
メディア報道によると、VWグループの5ブランドに不正ソフトウエアが搭載されていたもよう。このうちVWブランドが約500万台、アウディは約210万台を占めており、アウディ車のうち142万台は西欧市場で販売された車両という。また、チェコ子会社のシュコダも世界で120万台、スペイン子会社のセアトは70万台、VWの小型商用車ブランドも180万台が該当する。
また、国別では、米環境保護局(EPA)がリコール対象とした同国の約48万2,000台のほか、ドイツは約280万台、フランスは約100万台、英国は約120万台、イタリアは約65万台が対象となる見通し。
■ 経営陣を刷新
VWは9月25日、今回の問題で引責辞任したマルティン・ヴィンターコルン社長の後任して、ポルシェのマティアス・ミュラー社長がVWの新社長に就任すると発表した。また、米国、メキシコ、カナダを統括する北米地域の責任者にシュコダのヴィンフリート・ファーラント社長が11月1日付けで就任する人事も発表し、経営陣を刷新する対応を示した。
メディア報道によると、ポルシェのヴォルフガング・ハッツ開発担当取締役、VWのハインツヤーコプ・ノイサー開発担当取締役、アウディのウルリッヒ・ハーケンベルク開発担当取締役の3氏は停職処分を受けている。
■ 検察当局が捜査開始
ドイツのブラウンシュヴァイク検察当局はこのほど、VWの不正ソフトウエアの搭載に関して詐欺容疑で捜査を開始した。ただ、責任の所在を明らかにするための捜査でありヴィンターコルン元社長を個人的に対象とした捜査ではないと説明している。
9月27日付の独『フランクフルターアルゲマイネ』(日曜版)によると、VWの監査役会に9月25日に提出された内部調査資料にはVWの従業員が2011年に不正ソフトウエアの搭載が違法であると指摘した事実があったとの報告があったという。
また、独自動車部品大手のボッシュは2007年に、排ガス試験用のみにプログラミングしたソフトウエアの搭載は違法であるとVWグループに書式で警告していたとの報道もある。
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