2015年9月29日

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VWの不正で雇用問題が悪化、ドイツ経済に暗雲が広がる

VWの不正で雇用問題が悪化、ドイツ経済に暗雲が広がる

ドイツの自動車大手、フォルクスワーゲン(以下VW)の排ガス試験をめぐる不正問題が、欧州最大の経済力を持つドイツの先行きに暗雲をもたらしていると9月28日付の日本経済新聞が報じた。「高品質で環境にやさしい」とうたうドイツ製造業全体に傷をつけた形となった今回の事件。ドイツの自動車産業の新任を揺さぶる事態となった。

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不正発覚を受けて、VWは素早く経営陣を刷新し、近く販売済みの車の回収に踏み切る。不正のあったディーゼル車は欧州市場に多く、ドイツだけでも少なくとも280万台が点検対象となり、費用負担は重い。さらに、規制当局からの罰金や、投資家への損害賠償もかさむほか、ブランドイメージの悪化で新車販売も鈍りそうだ。それでも、財務体質が健全なVWはかなりの負担を吸収できるとみられる。生産量を減らす際は時短勤務などをフル活用し、人員削減は出来る限り避けるであろう。
 
しかし今回のVWの事件を受けて、ドイツ国内では雇用に対する不安が広がっている。「VW本体だけでなく、取引先の部品メーカーの雇用も脅かされる」とドイツ経済研究所のフラッツシャー
所長は語る。ドイツの自動車産業は年率2〜3%のペースで就業者を増やしてきた。1年間で2万人弱の新規雇用を産んでいる計算になる。欧州最大手のVWが失速し、大きな雇用を創出してきた動きが弱まれば、内需も鈍り、欧州の景気に影響を与えると考えられる。
 
ドイツ経済に依存する周辺国も無関心ではいられない。隣国ポーランドでは、メディアが連日、今回の事件を詳細に報道。ピエホチンスキ副首相兼経済相は「VWに説明を求めたい」と地元メディアで訴えた。VWはポーランドだけでも1万人を雇用している。

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