その書店とは銅鑼湾の開益書店。2010年に開店した同店は当初は順調だったが、中国本土観光客へのビザ規制や占拠行動で徐々に来客が減り、月の売り上げが40万~50万ドルから10数万ドルに激減。度重なる賃料の値上げも加わり、店主の楊淑君さんは自身の生活費も捻出できず窮地に追い込まれていた。
転機が訪れたのは、楊さんが現在置かれている状況や心境をフェイスブックに綴ったこと。あるショッピングモールのオーナーが楊さんの投稿を見て、格安での入居を申し入れてくれたという。楊さんは「まだオーナーと顔を合わせただけで、何も決まっていない」というが、「古書店としてもオープンしたい。大きい書店は新作ばかりでサイクルも早い。小さい書店はその隙間を埋める存在でありたい」と、すでに新たなプランに向け目を輝かせる。
だが楊さんのケースは幸運だったといえる。直近では旺角天地図書、博学軒、文星図書などが店舗契約を更新せずに、すでに閉店を決めているという。