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ギリシャ総選挙で与党勝利、チプラス政権続投へ

ギリシャ議会は定数300。開票率99.5%の時点で、SYRIZAの得票率は35.5%となり、145議席を確保する見込みだ。最大野党の新民主主義党(ND)は得票率28.1%と大きく水を空けられ、75議席にとどまる見通し。3位はネオナチ政党の極右「黄金の夜明け」(19議席)。1月からSYRIZAとの連立政権に加わってきた独立ギリシャ人は10議席で、両党合わせては半数を5議席上回る155議席を確保した。チプラス氏は勝利が確実となった20日夜、「国民から明確な負託を受けた」と勝利を宣言した。
 
チプラス氏はEUから新たな金融支援を受ける見返りに、厳しい財政緊縮策の継続を受け入れた。財政と経済の破綻を回避するため方針転換を余儀なくされた形だが、SYRIZAは1月の総選挙で緊縮策放棄を掲げて勝利し、国民にEUから支援条件の見直しを取り付けると約束していたことから、党内で造反者が続出し、過半数を割り込んだことから、チプラス氏は8月20日に議会解散、総選挙実施を表明した。
 
SYRIZAとNDによる一騎打ちとなった今回の総選挙では、両党とも緊縮推進では一致しているため、EUとの交渉で迷走したチプラス政権に対する事実上の信任投票という意味合いが強かった。事前の世論調査では支持率がきっ抗し、NDがSYRIZAをリードする時期もあったが、最終的に国民は政権交代を望まず、SYRIZAは4議席減らすにとどまった。NDはギリシャ経済を混乱させたSYRIZAの責任を追及したものの支持を伸ばすことができず、1議席減となった。SYRIZAの造反議員が立ち上げた新党の民衆統一は、得票率が2.8%と、議席獲得に必要な3%に届かず惨敗した。
 
チプラス政権は続投が決まったが、EUとの合意に基づく年金削減など厳しい緊縮策を進めながら、経済・金融システムを立て直すという難題が待ち受ける。シリアからギリシャに難民が押し寄せている問題への対応も急務となる。