だとすれば、高齢社会の先輩“日本”同様に、シニア(高齢者)ビジネスの門戸が開かれることは言うまでもない。すでに多くのマーケティング会社が、シニア市場の調査を進めている。電子商取引開発庁によれば、スマートフォン(スマホ)を使ったシニアビジネスが人気だ。現在、51歳以上のスマホによるインターネット利用は平均4.6時間と若年層に比べ短いものの、その伸び率は高い。最も人気のアプリケーションは「LINE」で、見やすさからか、多くの人が画面の大きいスマホかタブレット端末を活用する。
同庁のスランカナー長官は「若年層が両親と連絡を取るために、親に(操作を)教えて普及した」と話す。もともと所得があり、クレジットカード所持率も高い世代である。外出せずに、自宅に居ながらにして購入できる点から、オンラインショッピングにハマるシニア層が急増。いまでは、シニアを狙った健康、旅行、仏教をキーワードとした関連商品を取り扱うメーカーやTV番組が溢れ、続々と参入しているという。
ある美容メーカーは、シニア層向け高級洗髪剤を開発。また、某旅行代理店では、“タンブンツアー”と称して、仏教に関連深いインド、ネパール、ミャンマー、スリランカといった国の寺院巡りを企画する。さらに、健康志向者に向けた、国内有名スパを体験するツアーなども人気だ。
一方で、苦戦しているのが介護施設ビジネス。意外だが、タイでは、子どもが老人の面倒を見るという風習が根強く、親を介護施設に預ける人が少ない。逆に、一年中温暖な気候で、先進国に比べ物価水準も低いタイは、外国人の入居希望者が後を絶たないというのも興味深い。
近い将来、「百花繚乱!花盛りシニア・ビジネス」なんて見出しの“トピック・オブ・タイランド” を書く日も近い?